お掃除をする美國千都

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遥サンがやってくる。 仕事だからスーツ。 しかも午前中は外回りだったらしく かっちりしたモノトーン。 でも、その綺麗なふくらはぎを 他の男に見せてきたのは 違反でしょうが、遥さん。 「…煙草…」 「ん」 「五本ですか」 「ああ。なによ」 「……」 なによ、疑いの眼差し。 「コーヒーと紅茶、どちらにする?」 「千都さんにします」 「言うようになったな」 しかし 言った後 朱を掃いたような頬。 まだまだだな、遥サン。 カポッとダストボックスを開け 「あああー!」と口を開けているが そんな口、簡単に閉じられるから、 覚えておけ。 お掃除した俺は かなり譲歩したと思わないか。 折しも締め切りの後 梅雨の後先 爽やかな空に目を細め 爪のような月が昇るまで愛し合おう。 「今日は仕事で…」 世に逢坂の関は許さじ? お前の一番のお仕事は 俺を喜ばすことでしょうが。 蝉丸だって、琵琶かき鳴らしてる。 道無き道を踏み分けて 少しは俺を癒しなさい。 お前ね 望みは叶えてあげると言ったでしょうが。 「千都さん」 「はいはい」 「イチゴケーキ… ラップしてから冷蔵庫入れなきゃダメじゃないですか! バタークリーム状態になってます!」 ああ……やっぱり怒られた。 Sをもって、Sを制す。 お掃除の後は選択してください。 a・上に乗る b・甘えてみる C・当然、ベッドにも乗る。 全自動で全選択。 午睡に野暮はいけません。
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