好きになるの、待ってる

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電車に揺られながら外を見る。 親友・風香は、「朝ドラはリアルタイム!」と叫び、 この半年は、一緒に登校しないつもりらしい。 私、荒神堂遥(こうじんどう はるか)、高校二年。 仲良しの友達と毎日会うのが楽しみ。 彼氏はゼロ。 今後も有り得なそうな…。 と、思いながら 電車を降り、高校に向かうと 駅前の公園。 そこに制服姿の後ろ姿が見えた。 黒い髪、均整の取れた長身。 意外と肩幅があり、 名残の桜に透かして見える水色の空 くっきりしたフォルムの彼は、 後ろ姿も間違いなく、『美國千都』だった。 「遅いな」 後ろに目がついているように美國千都(みくに せんと)は言った。 「ハルカさんは本日も遅刻ですか」 「いますよ!」 「神に祈るかメールを打つか」 「います!!いますよ!!」 私が一生懸命言うのに 楽しそうに大きな独り言を呟く。 「ついに我を荒神堂遥は見捨てたもうたか」 「います!!」 私はとうとう、千都の腕をつかむ…ために手を伸ばした瞬間、逆に腕をとられた。 「遅刻はいけない、ね、遥さん?」 「遅刻してません!」 「太陽が西からのぼっても、 俺を待たせたらいけません、、、、だろ?」 「え?東からのぼりました? 今日は南からなんです」 「お前のふざけた議論は、スピード感と、ひねりっぷりが 実に望ましい」 ニヤッと笑われた。 合格らしい。 美國千都は、イギリスの名門校、その全寮制から、 一昨日、隣の高校に転校してきた。 風香は知らない。 風香が知ったら絶叫だろう。 なぜなら、今、アッキーが見ている連ドラのイケメン俳優の役柄と同じく。 帰国子女 セレブ 超美形 どうみても別世界の住人で なぜ、私を気に入ったかわからないが 一昨日、決められたのだ。 『朝は俺と高校に行くように。遥さん。』
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