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思わず突っ込みを入れる啓悟の顔は、些か引き攣っている。頭では分かっていたが、こうして親友の歪みっぷりを目の当たりにすると反応に困る啓悟だ。その反面、それほどまでに甲斐が大切なんだろうと思えば、見守っていたくなる。
「まぁでも、僕は隼人の気持ちもなんとなく分かるな。僕だって辰巳が居ない世界なんて、考えられない」
「フレッドもかよ…」
「だって啓悟、考えてもごらんよ。もし学がいなくなったら、キミはどう思う?」
「いなくなる…って…、考えた事ねぇけど…」
ふと隣に座る藤堂を確かめるように、啓悟は手を伸ばす。
「誰かに取られるのは…嫌だな」
「言葉が違うだけで、同じようなものだろう。そう深く考える事はない」
不安そうな恋人を宥めるように撫でながら藤堂が言えば、啓悟はその胸に身を預けた。
「俺、隼人とかフレッドみたいに生きていけないとか…そういう感じじゃないけど…、でもちゃんと藤堂が好きだよ?」
見上げながら告げる啓悟の顔は真剣で、藤堂は目を眇める。素直な年下の恋人の頭を撫でながら、藤堂は笑う。
「心配しなくてもお前の気持ちを疑ったりしない」
「うん」
普段は”エロ親父”などと言いながらも、藤堂が大好きで仕方がない啓悟である。誰が何と言おうと、啓悟にとっては藤堂が一番かっこいいのだ。
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