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その横で、スマホを取り出した隼人が何やら見ているのを、甲斐が覗き込んでいた。甲斐が、感心したように呟く。
「よくもまぁ、こう上手い具合に撮るものだな…」
「啓悟、またフォロワー増えましたね?」
「お陰様でな。『ハヤト』効果は絶大だったわ。甲斐さんまた撮らせてよー」
「イメージを損なわない程度にならいいだろう」
「やった!」
日本に帰ってからアップすると言って、啓悟が隼人を手招く。
「いいんですか? 甲斐」
「構わん。お前も少しは更新しないと拙いだろう?」
「そうですね」
二十一歳という年齢の割に、落ち着いた雰囲気で売り出している隼人の個人ブログの更新頻度はそう高くない。それでも、モデル『ハヤト』のブログのフォロワー数は十万人を超える。
稀に友人と外出中などといって更新されるブログに使用する写真の殆んどが、啓悟とのものだった。
「せっかくだし海で撮りたくねぇ?」
「そうですねぇ…。日が落ちてからの散歩というのもいいかもしれません」
「んじゃ行こうぜ」
あっさりと立ち上がる啓悟と隼人に、フレデリックが辰巳の名を呼んだ。
「何もないとは思うけれど、一応ついて行ってあげてくれるかい?」
「はぁん? 構わねぇよ」
「ありがとう辰巳」
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