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隼人の疑問に啓悟が乗る。この二人は、若いだけに好奇心が旺盛だ。
「僕が育ったのはフランスではごく普通の家庭だよ。両親と、弟が二人いる」
「えっ? フレッドって弟いたの?」
「うん。まあ、僕も弟も養子だけどね」
隼人や啓悟にとって、いや、藤堂や甲斐にとっても、フレデリックの素性に関しては謎が多い。フランス人である事と、大型客船の元キャプテンで辰巳の恋人である事くらいしか知らないのだ。
「辰巳さんフレッドの弟と会った事ある?」
「ああ」
「えっ! どんな感じ? やっぱフランス人? でかい?」
興味津々な態の啓悟に、辰巳が苦笑を漏らす。
「本人に聞きゃいいだろぅが。何で俺に聞くんだよ」
「辰巳さんなら教えてくれそうかなって思って。なんかフレッドはさぁ、自分の事聞かれたりするの嫌がりそうなタイプに見える」
「阿呆か。目の前で聞いてりゃ同じだろぅが」
「そうだけど、そうじゃないんだって。なんつーかさ、辰巳さんの方がガードが甘そうな感じ?」
啓悟の台詞は、言い得て妙だった。確かに、辰巳とフレデリックでは辰巳の方がガードが甘いというのも一理あるのだ。
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