Short vacation.

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Short vacation.

  ◇ 甲斐と隼人 ◇  安芸隼人(あきはやと)の携帯電話が鳴ったのは、あるジュエリーブランドのCM撮影の帰りの車中だった。気象庁が沖縄に梅雨入りを宣言した日の午後の事である。  チラリとバックミラーに映った運転手の顔を伺いつつ胸元から取り出した電話の液晶を見れば、数少ない隼人の友人の名前が表示されていた。 「はい」 『おっす、今大丈夫か?』 「構いませんよ。丁度、仕事が終わったところです」  軽い挨拶を交わす相手は、篠宮啓悟(しのみやけいご)。隼人とは高校時代からの友人だ。  互いの近況を訪ね合ったところで、啓悟は唐突に隼人の予定を尋ねる。脈絡も何もない話の転換は、いつもの事だ。苦笑を漏らし、予定を確認して折り返す旨を伝えて電話を切る。  スケジュール帳を確認しなくとも、友人の訪ねた日程が空いている事は隼人には分かっていた。だが、恋人も一緒にとなると話は別だ。  二十一歳の隼人よりも五つ年上の恋人である須藤甲斐(すどうかい)は、国内最大の規模を誇る財閥系アパレルグループのトップである。その多忙さは隼人などとは比べ物にならない。     
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