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「圭吾っ」
俺を呼ぶ声と同時に全身で左腕に飛び込んでくる軽い体
高校卒業を間近に控えた教室は常にざわめいていて落ち着かない。
「真波、危ないっ!急に後ろから飛び込んでこないの!」
俺の肩に軽く体重をかけて下から覗く瞳は誰よりも優しい
「へへっ」
イタズラに成功した幼い子供のような楽しげな笑顔が俺を見る。
「へへっじゃない!支えきれなかったら一緒に転ぶんだよ。真波、女の子でしょ?」
パンツ見えちゃうよ?
からかうと頬を少し膨らませサイテーだと睨んでくる二重の大きな瞳。
飛び込んで来た時に首筋を掠めた長い髪は柔らかくて
使うシャンプーの匂いが俺を優しく包む。
不貞腐れた真波に肩を押され笑いながら真波から離れる。
文句を言っても、怒っても次の瞬間には笑顔を向けて俺の隣に並んでくる女の子は
高3の夏休み友達数人と行った海で、俺が男しか好きになれないことに気付いた。
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