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「な、なんだあれは?!」
「どうしたの、キース?」
群れのリーダーである年長者・キースが玄関口から外を伺い声を荒げた。
群れ……そう呼んでいるけどこの家にいるのは皆血の繋がる身内────一つの家族だ。
家族と一言で括ってはみても、実際に何人の者がいるのかなど把握出来てはいない。
男女が一つ屋根の下で身を寄せあい、日々生きる事に必死で、明日にも死が訪れてしまうかもと怯えて暮らしている……
そんな中で、今や常識など何の役にもたたないのだ。
[短命][薄命]などという言葉は無いに等しいほど、私たちは交配を交わし生命を絶やさないよう子を、孫を残していく。
たとえそれが身近な存在の相手であろうと、種を残すためならより強く逞しい者と交わる事を選ぶ。
だから……私たちの群れは確かな血で結ばれる[家族]。
私たちは生きるために常に何人かのパーティを組んで敵に挑む。
宙を飛び地を駆け、一人が敵の目を撹乱し他の者たちで糧を手に入れて家に持ち帰る。
奪わなければ奪われる……私たちはそんな世界に生きている。
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