1人が本棚に入れています
本棚に追加
~出会い~
大陸の中央に広がる広大な森――
その中にはいくつもの川や泉を内包し、その地に暮らす一族を静かに守っていた
一族の名は、シャルキー
森の恵みに支えられ、ひっそりと慎ましく、心豊かに暮らす一族だった
しかし自然の恵みに溢れた豊かで豊潤な大地は、他国にとっても魅力的なものであり
周囲の国々がシャルキーの森を欲したのも、当然の事だった
そのひとつは、北方の大国 インテグリフォリア王国
広大な北方大陸を統治しており、その歴史はどこよりも古く深く、
現王カールハインツの庇護の元、人々は平和で安定した暮らしを約束されていたが
その暮らしをより豊かにするため、国は新たな土地を必要としていた
そしてもうひとつは、南方の新国 アル・アジール首長国
大地のほとんどを砂漠に覆われた場所で、複数の部族がより豊かな地を求めて争う中
4年前にそれらをひとつにまとめ上げたのが、新王エディハド
彼らは何よりも、シャルキーの森の持つ豊潤な水源を求めていた
その二つの国が、シャルキーの地を巡って兵を立ち上げようとしている最中
争いを良しとしないシャルキーは今、
どちらの国に与することが己が一族にとって有益なのか……
その判断を下すことを迫られていた
最初のコメントを投稿しよう!