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ヒラヒラ舞うのは蝶か雪か…
それとも思い出の欠片か__
津々と寒い冬の日、私は花街へ売られた。実の母親に。
大事に大切に育てられた__
それは肥やした物を高く売る商人のように…
「貴女は可愛い…本当に可愛い…もっと美しくなっておくれ」
母さんの口癖。ギャンブル狂の父親の借金そして蒸発のせいで家は貧乏だった。
私だけ優先して食べ物を食べさせて貰えた。兄も母も何日も水だけという日もあった。
髪も艶々、毎日綺麗に手入れもして貰った。
デモ…ソレハワタシヲアイシテイルカラジャナイ…
オカネノタメナンデショウ…?
私は全て知っていた。20歳になったら私は売られるのだ。
私は売られるという事に何も感じなかった。本当に、恐怖や悲しみと言った感情が何一つ沸いてこなかった。
ふうん…そうなんだ…お兄ちゃんに会えなくなるのは嫌だな…
そう思っただけだった。
私は兄が好きだった。愛していた。
だから最後に…最後だから…
お願いをしたの。
__私を抱いて、と…
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