yagami 5

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 まるで恋人同士のような誘いを男から受けているというのに、八神はおかしなくらい違和感を覚えなかった。むしろ、胸の奥の、更に奥の方にある何かがざわめき出すような感覚に襲われ、急に息が苦しくなった。  八神の中の何かを刺激してくる暮野の存在が怖い。でも、反対にそれがとても甘く幸福なのも事実で、八神はその相反する感情に身を引き裂かれてしまいそうになる。でも、そんな自分の気持ちを暮野に気づかれたくなくて、八神は平静を装うと、そっと暮野に笑顔を向けた。
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