第2章 隼人と私

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第2章 隼人と私

隼人は、千恵子さんが開いてくれた合コンで知り合った男だ。 千恵子さんと隼人は、千恵子さんが不倫していた男性の紹介で知り合ったそうだ。恐らく不倫男が、千恵子さんと縁を切るために他の男をあてがったのだろう。 そして、千恵子さんも不倫男の想いを痛切していたと思う。あの頃の千恵子さん、私に対する八つ当たりと言ったら凄かった。 どんな嫌がらせかというと、千恵子さんが担当の仕事を何故か全部私が引き受けるハメに。 千恵子さんは「私には他にも沢山の仕事があるけど。あなたどうせ暇でしょ?」と言って自分の仕事をガンガン押し付けてきたのだ。 本当は、千恵子さんの事をみんな面倒になってて仕事なんて任せてなかったから。みんな、私にばかり仕事をお願いしてきたから、千恵子さんはそれにキレてしまっただけなんだよね。 千恵子さんの手持ちの仕事は幸い少なかったけど、私の仕事は当時大変だったから。あの時ばかりは、いくら千恵子さんが可哀想と思っても「ふざけんな」としか思えなかった。 ただ、そんな千恵子さんに怒りを覚えても本腰を入れて怒れなかったのは、千恵子さんの不倫話が不憫だった事と、千恵子さんの不倫男から紹介してもらった隼人と私が千恵子さんを通じて交際するようになったからだ。
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