第4章 大樹との出会い

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第4章 大樹との出会い

「千恵子さん、少し一緒に京都を回りませんか。僕、ずっと1人なんですけど京都って初めてで・・・。ふと一人旅したくて来ちゃったんですけど、無計画なものですから迷子になってばかりで・・・。」と大樹は照れくさそうに笑った。 別に私は一人身だからいいけど、この人って既婚者だよね?これで、もし私がこの人と一緒に京都の街をぶらぶらしていて、奥さんに見つかって・・・そしたら、私裁判で奥さんに訴えられるんじゃないの? 「あっ、僕既婚者ですけど大丈夫です。嫁は不倫しちゃって、家に帰ってこなくなっちゃったんですよ。だから、千恵子さんと僕が歩いている所で誰も訴えられないはずです。」と、大樹はまるで千恵子の心を見透かしているかのように答えた。 「でも、それじゃ『目には目を。歯には歯を。』みたいであんまり良くない発想だと思います。相手も不倫しているから、自分も他の女と歩いていいなんておかしいですよ。そんな発想だから、浮気されるんだと思います。」 「あっ、すみません・・・。僕、そんなつもりじゃないんです。ただ、千恵子さん1人で旅しているから丁度僕も1人だし、2人でいれば楽しいかなって・・・。」 何だろう。イライラする。私が1人だから、この人は声を私にかけたの?1人だったら、誰でも言い訳?ムッとした顔をした私に、「あっ、本当に気分を悪くしてしまい申し訳ありません。」と大樹は小声で謝った。 私って、もしかすると自信なさげな男性がことごとく嫌いなのかもしれない。「僕で良ければ」という男性よりも「俺って魅力的だろ?追いかけたいなら、追いかければ?」スタンスの男性に惹かれてしまう。きっと、こういう恋愛姿勢が結婚を遠回りにしているって事はわかってる。わかってるけど・・・。 でも、待てよ?この人って既婚者だよね? 私は、既婚者には興味が無いからこの人と恋愛の練習をする事で「控え目男子」と恋愛できるようになるのかも? しかし、この発想がのちに大事件になるとは梅雨知らず・・・。
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