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神社で神に幸せを誓う時、決まってお腹がキリキリと痛くなったのを覚えている。本当は幸せになりたい癖に、いざ幸せが目の前に来ると「幸せが壊れる瞬間」が怖くてたまらなくなってしまうのだ。
きっと、この人と一緒になれば幸せになれるはずだ。そんな人と出会う度に、次の一歩を踏み出すのが怖かった。幸せと同時に不幸を想像してしまうのは、きっと私が幸せになる事に向いてないからだと思う。
ついつい頭や体ではわかっていながらも、「先が見えない」相手を選んでしまっていた。きっと、私に幸せになる覚悟がなかったからだ。
私たちが清水寺についた頃には、足がすでにガクガクだった。大樹は「安井金比羅宮から清水寺まで、そんなに遠くない」と言ったが、安井金比羅宮から徒歩で清水寺まで歩くのはかなりの遠距離だったように思う。無駄に急な坂道が多いから、よりそのように感じたのかもしれない。
私が少し疲れた顔をすると、大樹は「少し休憩しようか」と喫茶店に招こうとしたが「いや、大丈夫です」と清水寺に着く最後まで振り切った。もしそのまま誘惑に負けてしまうと、二度と引き返せなくなりそうな気がしたからだ。
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