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清水寺で同じ景色を見たあの日から、私たちの腐れ縁はズルズルと続いていった。
大樹から「付き合おう」と特に言われた訳でもないし、私も特に「付き合って」と迫る事も無かった。
このままじゃいけないと思って、大樹と鎖の繋がったまま合コンや婚活パーティーに繰り出す日々がずっと続いていくうちに、私はどんどん年を取ってしまった。
勿論、大樹を責める事は出来ない。私が楽な方楽な方へと体を委ねてしまった事が全て悪いのだ。
合コンへの投資額のみが積み重なり、身になる関係も特に得る事なく日々が過ぎて行く。「わぁ、千恵子さんって凄いですよね。合コンクィーンっていうか、コンパの女王って感じですよねー!」と職場の後輩に呼ばれては虫酸が走る思いを繰り返す。
大樹とは相変わらず奥さんと離婚する事もなく、私と付き合う訳でもない癖にずっとぼんやりと繋がっている。
腐れ縁など、いっそ腐ってしまえばいいのに。何度も思えば思うほど、大樹は私に優しくなる。絡みついた鎖はどんどんもつれて固くなり、解けなくなってゆく。
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