第2章 隼人と私

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千恵子さんが不倫男と開いてくれた合コンには、以下のような濃いメンバーが揃っていた。 ・投資で稼いだお金の自慢しかしない癖に、何の仕事してるか教えてくれない48歳。 ・「夢は、歌手になりたい」とバンド活動をしているフリーター35歳 ・仕事の愚痴ばかり羅列する商社マン30歳 ・千恵子さんの不倫男の弟、隼人28歳 最初、このメンバーの顔と条件を聞くなり帰ろうとしか思えなかった。唯一爽やか風のイケメン隼人でさえ、「不倫男の弟」という肩書きに躊躇した程だ。しかも、私は当時34歳。28歳の男なんて、年下過ぎるし結婚相手として考えるなら、丁度良い年齢とは言い難い。 「この子はね、いつも仕事のミスは多いけど私の仕事をいつも助けてくれるの。 本当によく動くし、私はいつも助かってる。」 千恵子さん、こんな時に限って私を煽ててくるから困る。いつもの合コンなら私の若さに嫉妬して足を引っ張るような事しか言わないのに・・・。 「へぇー、最高の相棒だね。仕事は、できるできないよりも上司と部下との相性が最も大切だと思うよ。良かったじゃん、千恵子。」 投資男から褒められた千恵子さんは、何だかご機嫌。 そうなのだ。実はこの投資男が千恵子さんの不倫男なのだ。私は初対面だけど、金ネックにグラサン・パンチパーマに襟立てた柄シャツ見て「この人はヤバイ」フラグが直ぐに立ったんだけど。 千恵子さん、45にもなってどんだけクズ男捕まえて不毛な恋に時間潰してんだよって、その場で叱ってあげたくなった。けど、私は後輩だから口をつぐむ。
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