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それだけに、未波としては辻上の顔が見たかった。
きちんと顔を見て話をすれば、彼は、たとえ訥弁でもちゃんと返してくれる。
そんな会話が恋しかった。
抱きしめてくれた時の温もりを、また感じたかった。
そして、また彼のピアノが聞きたかった。
しかしこれだけは、彼の資格試験が終わるまでは、自分からは絶対に言えない。
そうなることは承知していても、未波は、彼と付き合いたかったのだから。
だが、この手の付き合いは、理性と本音は完璧に別方向を向く。
そして、そんな付き合いを始めて、ひと月足らず。
初めてのカップルイベントとなる、クリスマスを迎える月へと突入した。
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