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何しろ彼とは、あの想いを通じ合えた日以来、会えていない。
お蔭で最近は、仕事をしていてもちょっと集中が切れたりすると、
どうしても、付き合い始めて初めてのイベントを一緒に過ごしたい本音と、
彼の試験優先をする理性が、せめぎ合いを始める。
そしてこの時も、そんなせめぎ合いの真っ只中に、彼女はいた。
「米倉さん」
主任の井川のすまなさそうな声が、突然、掛けられる。
「悪いけど、郵便係、今日だけ佐藤さんと換わってあげてくれない?」
それで我に返ると、斜め前の席でなぜか2年目の後輩が、シクシクと泣いていた。
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