8 風邪ひきとクリスマス

9/22
前へ
/37ページ
次へ
何しろ彼とは、あの想いを通じ合えた日以来、会えていない。 お蔭で最近は、仕事をしていてもちょっと集中が切れたりすると、 どうしても、付き合い始めて初めてのイベントを一緒に過ごしたい本音と、 彼の試験優先をする理性が、せめぎ合いを始める。 そしてこの時も、そんなせめぎ合いの真っ只中に、彼女はいた。 「米倉さん」 主任の井川のすまなさそうな声が、突然、掛けられる。 「悪いけど、郵便係、今日だけ佐藤さんと換わってあげてくれない?」 それで我に返ると、斜め前の席でなぜか2年目の後輩が、シクシクと泣いていた。
/37ページ

最初のコメントを投稿しよう!

36人が本棚に入れています
本棚に追加