8 風邪ひきとクリスマス

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「あっ、未波ちゃん!」 駆け込み時間よりも少しだけ早く行ったため、 まだ行列もない、やや閑散とした部屋の中で、 真っ先に未波を見付けた絹矢の嬉しげな声が上がる。 「久しぶり。智樹くん、元気?」 だが、こんな言葉を掛けながら、未波の目は辻上の姿を探していた。 しかし、もう松本の姿がないのは当然だが、恋しい恋人の姿も そこには見当たらない。 だから「忘年会、楽しみだね」とはしゃぐ絹矢に、未波は思わず尋ねていた。 「うん、楽しみね。ところで、今日は4人なの? 辻上さんは?」 そして、あっけらかんとした絹矢の答えに、未波のほうが思わず固まった。 「お休み。風邪ひいちゃったんだって」 なんですって?!  飛び出しそうになった言葉を、未波は慌てて呑み込んだ。
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