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8 風邪ひきとクリスマス
あの日、未波は色々な事を知った。
辻上の下の名前が、嶺であること。
今年で、30になったこと。
あの日、彼が弾いていた曲は、ショパンのエチュード13番
「エオリアンハープ」だったということ。
ピアノは、中学に行くまでは習っていたが、その後は独学なこと。
ショパンの曲が、好きなこと。
口調は、相変わらずに、ぶっきらぼうに近いくらいの口不調法。
しかし辻上は、尋ねた事には、きちんと誠実に答えをくれる。
そして何より驚いたのが、彼が未波の出向が終わる日を待っていた
ということだった。
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