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7 唐突すぎる唐突 (つづき)
「ごめんなさい」
謝る未波に、「いや」と辻上は、かぶりを振った。
そして、少しおずおずと尋ねられる。
「どうして泣いたんだ?」
あまりにもストレートな問い。
お蔭で、恥ずかしさのあまり未波は、思わず視線を俯けた。
「泣いたのは、自分でもちょっと驚きました。
でもたぶん、なんていうか、ビックリしたり嬉しかったり、
色んな感情が重なって、溢れちゃったんだと思います」
顔は見ずとも、目の前の辻上が小さく息を呑んだのが分かった。
そして、少し掠れた彼の声が言う。
「嬉し、かったのか……?」
未波は、黙って頷いた。
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