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「ただいまーっ。秀太、愛利、おみやげだぞー」
「おかえりパパ!」
「えっ、おみやげ? なになに?」
父親の帰宅に、双子の兄妹は飛び跳ねて出迎えた。
「ほら、入りなさい」
そう言って握っていたリードの先を見やると、そのおみやげは入口からひょこっと顔を覗かせた。
「わあ! かっわいーっ!」
「犬だ!」
「犬は犬でも、今日発売したばかりの“WAN-BE”だぞーっ」
「わんびぃ? じゃあこの犬、ロボット?」
「うそーっ! 本物みたーい!」
甲斐川家の長、賢介が買ってきたのは、家庭用ロボット犬“WAN-BE”だった。
ロボットと言っても、従来の無機質なプラスチックや金属のボディではなく、ふさふさとした金色の体毛に覆われており、大抵の人間はパッと見ただけでは本物のゴールデン・レトリバーと見間違うだろう。
「ほら、二人にあいさつ」
だが声を発した瞬間、二人はその犬がロボットだと実感することになる。
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