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『皆さん、はじめましてだワン』
「しゃべった!」
「そうさ。人工知能がプログラムされているから自分で考えて話すんだよ」
「まあ、お利口さんなのね」
賢介の妻、知穂も興味津々とばかりに玄関先にやって来た。
「もしかして、お店から歩いて連れて来たの?」
「ああ。本物の犬と同じように外を散歩させることもできる。不審者に対して威嚇もするからボディーガードにもなるぞ」
「わぁ、いいわねぇ。私、ワンちゃんとお散歩するの夢だったの」
目を細めうっとりと想像する知穂。
「うはーっ、すげーフサフサしてて気持ちいーっ」
「ずるーいお兄ちゃん、あたしもーっ」
WAN-BEに抱き着いたり頭を撫でたりはしゃぐ秀太と愛利。そんな一家の微笑ましい光景を、とある部屋の隙間からジッと見つめるモノがいた。
『…………』
甲斐川家旧家庭用ロボット犬、“ハチ”である。
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