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このままドヴァン伯爵家の姉と結婚し、伯爵家の婿養子に納まっておけば王族からは抜けても貴族の当主にはいずれなれたはずだった。
ドヴァン伯爵家は貴族としては中流、だが血筋は王国建国より続く由緒あると言えなくはないもの。
ただ旧い家柄というだけの取り立てて珍しくもないものと言ってしまえばそれまでだが。
貴族として、不自由なく生活することはできたはずだ。
「陛下」
第二王子の先を促す声を国王は諦めとともに受け止めた。
そしてゆっくりと顔を上げ、未だに国王たる自分を睨み付ける末の息子に向き直る。
おそらくは、露ほども予想していないのだろう。
他人を自分勝手な望みのために断罪しておいて、自分が断罪されるとは思っていない。
自分を睨み付ける息子の瞳に、国王はそう胸中に思う。
私は間違えたのか。
所詮王位を継ぐこともない子。
補佐には二番目の息子がいる。
だから必要最低限の教育しかしなかった。
散々甘やかして、甘い顔をして育ててきた。
それがこのような愚か者を生み、まだ若い少女にしてもいない罪を被せ大勢の前で辱しめる結果を生んだ。
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