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「私はお姉様の味方よ」
「お姉様には私がいるから大丈夫」
口癖のように毎日言われ続けた言葉。
父にも呆れられ「いい加減にしないか」「はしたない」「周りになんと言われているのかわかっているのか」そう罵られ、顔を合わせるたびにため息をつかれるメリッサにマリエラが何度も口にした言葉。
父にも、義母にも疎まれ蔑まれたメリッサがそれでも家に居場所があると思えたのは、妹のーーマリエラのその言葉があったからだ。
メリッサが落ち込んでいる時は隣に座って慰めてくれた。
夜会や舞踏会で一人壁際に立ち尽くしていると大勢の友人たちをおいて、メリッサの元に来てあれこれと世話をやいた。
一年前。
ヘルト王子との婚約が決まった時も、不安がるメリッサに、
「大丈夫よ。お姉様ならきっといい妻になれるわ。だってとっても賢いんだもの。それにヘルト様はすごくお優しくて素敵な方だって噂よ!きっとお姉様を大事にして下さるわ」
そう言って手をとってくれた。
マリエラの手は土いじりで荒れて指先の硬くなったメリッサの手とは違い、柔らかくすべらかだった。
初めてヘルトと二人で会うという時も、緊張するメリッサの為にと、父母に頼んで一緒に来てくれた。
上手く話せないメリッサとヘルトの間に入って橋渡しをしてくれた。
何度三人で会っただろうか。
マリエラもヘルトも優しかった。
何度も三人で笑いあったはずなのに。
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