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玄関脇の電気のスイッチを入れれば、けして広くはない和室の灯りが点く。炬燵のそばには脱ぎっぱなしの寝間着と使い古した袢纏。室内干ししてあるパンツや靴下、そんなもんがぶら下がってる。長年の男の一人暮らしの部屋なんだから、雑然としてて当たり前。そもそも客らしい客など、ほとんど来やしない。
「うわ、おじさん、ちょっとは片づけなよ」
炬燵にコンビニの袋を置くと、俺の背後から呆れたような声で翔太の声がする。
「いいんだよ、これが俺にとって居心地がいいんだから」
「何言ってるの、俺もここで暮らすんだから、ちゃんとしてよ」
「は?」
突然何を言い出すんだ、このガキは。コートを脱ぎながら、玄関で前かがみになってショートブーツの紐を緩めている翔太を呆れた眼差しで見た。
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