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「容子?」
『あ、うん……メアドはお義父さんから、前に教えてもらったの。そっか、翔太、そっち行ったんだ……』
「なんかケンカしたとか言ってたけど」
『あー、うん、そうね、ケンカになるか……』
なんだか歯切れが悪い答え方に、俺の方も訝しく思ってしまう。
『とりあえず、兄さん、しばらく翔太のこと、よろしくお願い。ちょっと私もパートに出なくちゃいけないからさ』
「あ、悪い。俺ももうすぐ電車に乗るんだ」
『え、仕事なの?』
「まぁな」
俺たちは、また連絡をすると約束をして、電話を切ると、ちょうど電車がホームに入ってきた。
翔太は、どんな理由でケンカして出てきたのか、は気になるものの、こればかりは本人から聞かないことにはわからない。
ガラガラの電車の中に乗り込みながら、俺はすでに仕事のことを考え始めていた。
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