お前が鳥になれ

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 やがて、三度目の夕日が地平線に掛かった頃、彼はようやく人家のある麓に辿り着いた。一刻も早く小屋に戻りたかったが、まだその草を灰にする作業が残っていた。彼は言われた通り、人目に付かないところでそれを焼いた。風のなかで渦巻くような匂いがむっと来た。煙に惹かれるように近寄って来た子供たちに、可為武は咄嗟に山犬のように吠えかかった。
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