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十一歳になった時、ふいに彼らの生活の風向きが変わった。
「もういいだろう」
弥兵衛は突然、彼ら二人を目の前に座らせて言った。可為武はそれが独り言なのか、あるいは自分たちにいったのか、あるいは使用人の瀬人に言ったのかと思い、彼が潜んでいやしないかと混乱して見たほどだった。
「可為武、お前外に友達はいるか」
「え、」
「その辺の子供と遊んだことはあるかって訊いてるんだよ、」
「ありません、」
可為武は、弥兵衛の子供が来た、と囃し立てられることについては口をつぐんだ。弥兵衛は首をひねると大きな手で顔をゴシゴシとこすった。
「阿比留は、そいつはどうなんだ」
「阿比留は……」
彼らはともに癖で、阿比留がそこにいないかのように喋った。七歳になった阿比留は三歳の頃と変わらず、背中を丸めて獣がするような胡坐をかいており、あちこちに虱のたかった身体を無造作に掻いている。
「……、」
可為武は説明しようとした言葉を自ら遮って、ただ首を振った。
「そうか、チト放っときすぎたな……」
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