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和服姿の老人は、つばを飛ばすようにして相手に詰め寄る。
「大久保に任せたのですが、どうもその部下がヘマを打ったようでして」
そうスネークと呼ばれた男は、さりげなくハンカチで顔を吹きながら、答えた。
「ふん。大久保も愚かな部下を持ったもんじゃの。どいつもこいつも使えん奴ばかりじゃ。
まあ、ええ。ほんなら、もう一度、小倅を引っ張れば良いだけの話じゃけんのう。
それにしても、あの小倅の醜態。見たいもんじゃのう。
あれも男には違いないが、千織に生き写しじゃからのう。楽しみにしとったんだがのう」
「では、今度は御前ご自身でご覧になられてはいかがですか?」
スネークは豊かな銀髪をかきあげると、ニヤリと笑った。
「ほ、ほほほ。それも良いのう。最近、わしの愛妻も異国の空の下じゃからの。
さみしゅうてかなわん。では、早速手配をしろ。そうじゃの。
今度はお前がやってはどうじゃ?お前も嫌いではなかろう?」
そう言うと、未だ枯れない精力を持て余すように、老人は舌をなめずった。
「今度は失敗は許さんぞ。そう大久保に伝えておけ。もちろん、お前もじゃ」
「は。このスネークに今度こそ。お任せを」
*
月ーー2015年4月14日16時02分 高城剛三自室
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