結晶探し

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「他と違うということは、個性主義の少女の心にも響きます。偉い先生が本物そっくりの美しいアクセサリーを作れば、それは大きな話題になります」  青見が唸りながら、雑誌を捲る。洸野は黙り、青見の返答を待った。 「意義はわかった。だが、報酬が低すぎる。人の知識をアテにしといて、五万はないだろう」 「名前だけ貸していただければ結構です」 「それは楽だろうがな。俺は嫌だ。名前を出すなら、ちゃんとしたい」  苦笑して、青見は押し黙った。虚空を睨んで、顎を撫でる。洸野の心に不安がよぎる。  どこまで謝礼を上げられるだろうか。予算は少ない。上げるのは難しいが、この企画を諦らめたり、ましてや不完全な状態で完結させたくはない。 「わかりました」  洸野は力強く頷き、顔を上げた。青見がこちらを睨むように、真剣な目を向けてくる。目が合った。 「雑誌で青見さんの写真集を紹介させて頂きます。写真集なら小学生だって読めますし、親御さんの受けもいいので、上層部の了承は得られると思います。専門家である青見さんの説得力も増しますし。ただし、青見さんには原稿にも協力して頂きます。そうして頂ければ、いくらか監修料として上乗せできると思いますが、いかがでしょうか?」  決然と述べた洸野に、青見が腕を組んで唸った。洸野自身が驚いている。新しいアイディアが次々と浮かんできた。  編集長の台割はできあがったばかりだ。今からラフを描いて企画を提出し直せば、間に合うかもしれない。…いや、間に合わせる、だ。この企画を大きくして、どうしても特集を組みたい。 「写真集の紹介のためにも、青見さんの雪の結晶の写真を原稿につけさせていただけませんか。今は確約できませんが、編集長と相談したうえで、契約書を作り直します」
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