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先輩はまだ羽根を撫でていた。柔らかな羽弁から羽軸根へと指を滑らせた後、先輩は呟く。
「脈を打っているわ。この羽根、生きているのね」
先輩は身を屈めた。長い髪の毛がぱらぱらと流れ落ちていく音がして、手首に先輩の息がかかる。
急に近づいた距離に緊張して、わたしはもう片方の手でスカートの端を握りしめた。それでも縫い留められたように先輩から視線が外せない。
近距離から羽根を眺め、指で摘まむ。その間、先輩はわたしを上目遣いで覗き込んでいた。
「痛みはある?」
「……わ、からない……です」
緊張で声が上擦る。先輩がこんな近くにいて、わたしと視線を重ねているのだ。
見下ろすと、視界に先輩の太腿が入り込んだ。スカートの丈はわたしよりも短い。なぜか、その太腿とスカートの境目に艶めいたものを感じてしまった。
ああ、妬ましい。
スカートを握りしめていた手が痛んだ。見ればまた、羽根が生えている。
「また、羽根が……」
先輩はあくどい笑みを浮かべて、わたしをからかった。
「このままだと白鳥になってしまいそうね」
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