皆既日食

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―――ゆっくりと光を喪う 姿は幻と化し、 実体の見えない私は、まるで幽霊のようだ ようやく私は自由になったのだと、 漆黒の深淵の中で、 微笑む けれど、あなたは再び私を見つけ、 私の存在を全ての人へ曝け出す 身動きできない私を嘲笑うために あなたなしでは生きられない弱さを暴くために あなたの強欲な光が、 毒を振りまき、 全身へ降り注ぐ 強すぎるその光が 脆弱な私を生かし、抹消する そうして私は絶望し、 逃れられない狂気の中で生き続けるのだ
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