ルナティック

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じわじわと狂っていく。 いつのまにか感情に飲み込まれて、気づいた時には元の姿が分からない。浸食され、腐って、手足が落ちて、ようやく自らの姿に気づく。 耐えた先が、堕ちることだったのだと。 いっそもっと苦しく、痛く、辛ければよかったのかもしれない。 そうすれば激情がきっと気づかせてくれた。ゆっくりと飲み込まれる前に。ぽっきりと折れて、まだ元の姿を覚えていられたのに。長い時間をかけて変えられた自分は、もう分からない。戻ることなどできない。 何度も何度も繰り返し襲われて、その度に絶望を繰り返す。 終わりが見えない。 終わりはあるのに。 自分はまだ終わりを信じられない。 全て侵されれば終わりが見えるのか。それとも、それが終わりなのか。 堕ちてもそれはまだ終わりじゃなかった。 はやく終わればいいのに。 はやく耐えられなくなればいいのに。 浸食され堕ちても、耐えることしかできないなんて。自分の姿に気づいても何もできない。
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