喰われる

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くだらないことを考えていたら、いつのまにか行為は終わっていた。 互いの液体でべたべたの体を、温かなタオルで丁寧に拭かれていく。苦痛さえ感じるセックスよりも、こっちの方が随分心地よいと七条は思った。 セックスの時は性急で乱暴になる指先が、肌の上を優しく滑っていく。 「足、開くね」 穏やかな声が問いかけてくる。七条の気怠い体を気遣って、そっと足を左右に割り開き、高田の指先が陰部へ到着する。そこに性的なものは一切ない。労わるだけだ。 「っ、!」 不意に小さな痛みが走り、七条は顔を歪めた。高田はビクッと震え、慌てて手を止めて後孔を見やる。わずかに血がシーツに染みていた。その瞬間、高田は青ざめ、泣きそうな顔を上げて七条を見やった。 「ごめっ…!ごめん、ごめん。こんな…いた、痛かっただろう?…今、薬塗るね」 ベッドのサイドテーブルから軟膏を取り出して、傷ついた部分へ最新の注意を払って、優しく優しく塗りこむ。その間ずっと、「ごめん、ごめん」と高田は言い続けた。骨ばった形のよい長い指は、普段、繊細で優しくて―――とても臆病だ。 まるでこの人自身のようだと七条は思い、ふっと鼻が鳴った。
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