一章 出会い

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悪夢の始まりはこの電話からだった。 16歳の若さでこの世を去った妹はなんて不幸な人生なんだと、涙が止まらなかった。 いつも笑顔で純粋な妹はもうこの世にはいない。 何度も何度も夢だと自分に言い聞かしほっぺたをつねっていた自分がいた。 だが現実は変わらなく風は冷たく静かな夜に一人車を走らせた。 家族はタクシーで病院へ向かい俺は一人涙を流し指定40㌔の道路を120㌔を出し車を飛ばしていた。 二次災害が起きてもおかしくないスピードだが信号無視を繰り返し10分程度で病院へ到着した。 急いで病院へ入り妹のいる病室へ向かうと 体には白い物が被せてあり、完全に亡くなっている妹を確認した。 部屋に着くと同時に床に膝が付き涙が溢れていた。 氷の様に冷たい手はもう二度と暖かくなることは無かった。 薄汚れた世の中に何の未練も感じなかった。 俺は一日中寝てばかりいて生きる資格など1ミリも感じられないが妹は違った。 成績も良く顔も可愛く性格も純粋な心で人には優しくめんこい子だった。 何度も変わってあげたいと思ったが妹は起きることはなく体も徐々に冷え切っていった。 次第に家族も到着し妹の眠っている側に皆集まっていた。 悲しみの言葉を投げかける度涙がこみ上げてくる。 抑え切れない感情で病室を後にした。 俺はそのまま警察の人とお話をし事件の詳細を聞かされ常時拳を握りしめていた。 警察官は犯人の顔写真を見せてきてこう一言語った。 (こいつは絶対俺が地獄へ連れていくんで、お兄ちさんは妹さんの為にも精一杯生きてください) 警察官はそう言ったが聞く耳を持たないでいた。 (刑事さん、こいつの名前と年齢分かります?) この時は近いうちに世界が壊れ破滅するなど誰も想像もしなかった。 政治家、科学者、警察官、医者。 様々な職業が存在する中この世の身分は平等となる日がやってくる。 生まれた時から勉強しかやって来なかった人も、何もしてこないでクズのニートも全てが平等となる。 そんな日が近い未来に訪れるなど誰も予知していないだろ。 (年齢は28歳、お兄さんと同級生だよ。えーと名前は確か) (真田雄介ですよね?) キョトンとした顔で資料を置き (知り合いかい?) (はい。昔の親友です) 彼の名は真田雄介。 こいつを殺すと決めた日 2017年4月1日残酷な嘘と共に妹を見送った。
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