一章 出会い

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過ぎていく日々の中家族だけはカレンダーが進むことは無く4月1日のまんま思い出と悲しみは止まったままだった。 だが、現実は言うことを聞きはしなくお通夜お葬式と妹が段々遠くへ行ってしまっていた。 一瞬の刹那だが切なく刻一刻と時間は過ぎ一人ベルコの前で煙草を吸っていた。 風の冷たさはいつもと変わらず今年の春の訪れは最悪な始まりでスタートを切り、空虚な現実は終わりはしなく俺は会場へ戻り朝まで妹の顔を眺めていた。 今にでも目が開きそうだが重たい口は開きもしなくずっと眠ったままだった。 その夜は沢山の親戚や友人がお線香を挙げに足を運んでくれた。 28にもなって友達や家族の前で大の大人がウイスキーを片手に焼け酒をしていた。 燃え上がるロウソクに流れるオルゴール、泣きじゃくった夜、気が狂ったようにお酒を飲み気が付くと妹の前で深い眠りについていた。 次の日等々妹の姿は目の前から居なくなりあの世へ旅立っていきこの世に残された者達は強く生きると誓いを交わした。 そしてやがて悲しは怒りへと変わっていきある決意をし、妹が常に宝物のように持っていた万年筆のボールペンと誕生日プレゼントに貰ったキャップの帽子は俺の宝物の肩身へと変わり妹とお別れをし時は流れた。
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