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背が高い…というよりバランスが良かった。
頭がちっちゃい
というか
ともかく骨から綺麗。
髪はサラサラで
何事!?というくらい艶々。
そのひとは傘をさして、ぽんすけを抱っこしていた。
顔は見えない。
だけど。
その手には、猫缶。
その猫缶は明らかに高級品。ちゃんと猫専用で、私とは違う。
「家に帰ろう、ぽんすけ」
とろけるような優しい声で男の人は言う。
ぽんすけは、にゃーと返事した。
当たり前のように返事をした。
「家に帰ろう」って言われたら「うん(にゃー)」って返事をした。
そして連れて行かれた。
「……」
私はヤマザキ食パンの入ったマイバッグを
すごすご下げて
家に帰った。
「……」
(ぽんすけは私の家族だと思っていたのに)
ぽんすけのいない人生なんて、クリームチーズとジャムとトースターのない生活と同じだわ。
「……悲しい」
(ぽんすけはあの人の家族になってしまった)
イケメンボイスのイケメン骨格のイケ高級猫缶の虜になってしまったのだ。
「……淋しい」
゜・*:.。..。.:*・゜゜・*:.。..。
翌朝、駅近くの、ぽんすけエリアに、ぽんすけの姿はなく。
ぽんすけが、野良猫ではなくなったことを、再び実感させられた。
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