拝啓

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「でも僕はこの国以外の国の方が聞いていて、とても幸せそうな感じがするんだ。」 僕はお父さんがどんな反応をするのかがわからないから怖かった。 自分の考えが否定されるのではないかと怖かった。 僕はこの国の人からしたら変人だそれを自覚しているから怖かった。 だから僕は勇気をもってこの話をお父さんにした。 お父さんが僕の疑問に対する答えを待つ時間は秒数したらたいしたことないのかもしれないけれど、僕にはとても長く感じた。 「そうかー、お父さんはそうは思えないけどな皆同じでなに分け隔てなく与えられて困ることがないしなー」 「うん、そうなんだけどね僕は外の国の人たちが羨ましいなって思うんだ僕らみたいに同じ顔じゃなくて、同じ服じゃなくて、お金っていうもので自分の好きなものを選んで買えるんだって僕にはそれがとても幸せかもって思えるんだ。」 「そうかーじゃあ、外交官になってみたらどうだ?」 「がいこうかん?」 「そうだよ、聞いたことないかもしれないけど、この国から外に出られる唯一の職業だよまあたくさん勉強もしないといけないけれどね」 「お父さん僕、決めたよその外交官っていうのになるよ」 お父さんは、はっはっはとおおきな声で笑う。 「そうかたくさん勉強しなきゃいけないんだぞー」 「うん、だから僕、頑張るよ!」 ・・・あのときから僕は外交官になる決意をしていたのを僕はよく覚えてます。 父さんは冗談交じりだったから覚えているかはわからないですが。 そして父さんがこの国は幸せなんだと言っていたことの意味を知ることができました・・・ 僕は朝のある日散歩に行こうと公園に向かった。 とても清々しい朝だ。 そらは青く澄み渡り、空気もひんやりとしていて気持ちいい。 他にも、朝にジャージを着てランニングをする人や、僕と同じように私服で散歩をする人がいた。 僕はこの普通に公園の景色を楽しみながら足を歩める。 だが、そこに、ただ一点を見て僕は異状な景色を見かける。 そこにはみすぼらしい格好をした50代くらいのおじさんが水道で足を洗っていた。 なぜこのおじさんは公園で頭を洗っているのだろう?冷たくないのだろうか? それともこの国はこういうことは普通なのだろうか? そんな風に思いながら僕は声をかけてみることにした。
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