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クリスマスが近づく繁華街は、週末であることもあって、どこか華やいでいた。周囲の大人も浮かれていて、時折酔っ払いに絡まれたりした。制服だったから、いずれ補導されるだろうと思いながら、適当に歩いた。
椎木と入ったラブホテルの前に辿り着いた時、急に後ろから腕を引かれた。驚いて振り返ると、早見の姿があった。
「何してんだよ! 母ちゃんも父ちゃんも超心配してんぞ! あと30分で見つからなかったら警察に連絡するところだったんだ!」
必死の形相というやつだった。見たことがないくらい、怒っている。腕を掴む力は強く、遠慮がない。
「痛い」
「うっせー」
「離せ。逃げないから」
「命令型で話すな。ウザい」
「ウザいならほっとけ」
「ほっとけたらほっとくわ! お前の母ちゃんが死にそうな顔して俺ん家来るからほっとけなかったんだろ! 心配かけんな!」
引きずられるように歩きながら、早見は早口で言う。
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