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 ◇ 「あ、え、キヨ?」  クリスマスイブに、椎木に会いに行った。インターホンを鳴らすと、ばたばたと駆け寄る音がして、勢いよくドアが開いた。 「どうせまだ独り身だと思ったんですけど。何か予定あります?」 「い、いいや! 何も!」 「俺も今年から独り身ですからね。ケーキでも食べません?」  そう言って、土産に買ってきたクリスマスケーキを渡した。セイと違って甘いものは好きではないから、一口サイズのケーキがいくつか入っているものにした。甘そうなのは椎木に食べさせようと思って。 「あ、ありがと……俺何も買ってない! フライドチキンでも買ってくるから、中入って待っててくれ!」  上着を引っかけて、椎木は飛び出していった。  遠慮なくリビングで寛いでいると、慌ただしく椎木が帰ってきた。まるでキヨが本当に部屋にいるか心配していたかのように、キヨの顔を見るとほっと息を吐いていた。それが可笑しくて、キヨも笑ってしまった。  椎木の買ってきたフライドチキンとピザを食べて、ケーキも食べた。甘ったるいものが多かったから、椎木がほとんど食べた。自分で食べれるものを買ってこいよと、呆れられた。
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