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「うん……うん……」
そう。セイと自分を別の人間として認めてくれている。今も。
「椎木、俺はね、椎木のことが好きになりました」
キヨの言葉に椎木は表情を消す。怒っているのかと思った。
「キヨは、キヨとして生きなきゃ駄目だ。セイが俺を好きでいてくれたとしても、それに合わせてキヨまで俺を好きとかは言わなくていいんだよ。キヨはキヨの好きな人を、見つけて」
そう言うと思った。椎木はきっと。
「多分俺は、セイを食った」
「食った?」
「セイは消えたんじゃなく、俺の中に取り込まれた。だから、セイが持っていた感情を、俺も持つことになった。俺も椎木を、好きになりました」
「それは……」
「それは本当の気持ちじゃない? 認められない?」
「認めないとかじゃなくて……。それに捕らわれて新しい人生をキヨが歩めなくなるなんて、駄目なんだよ」
「ふふ、セイと同じ事を言う」
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