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 ◇  翌日、椎木は酷い頭痛に苦しんでいた。  久しぶりに友人に会って羽目を外しすぎた。  二十八にもなって情けない。しかしそれも仕方がない。仕事と……そして恋人も一気になくした愚痴を、三ヶ月経ってようやく話せたのだから。  だって誰にでも話せる話じゃない。私生活のことが問題となって仕事を辞めることになったなんて。  カーテンを開けて驚いた。すでに陽が落ち始めていたからだ。  今日は早くに寝ようと決心をする。明日は職探しをするのだから。  昨日の『セイ』との出会いは夢だったのか現実だったのか、椎木には自信がなかった。あのような美少年、どう考えても現実味がない。しかしそれが自分の妄想だとしても恐ろしい。
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