2人が本棚に入れています
本棚に追加
天使は、調査部門の天使、救済部門の天使に分かれていて、調査部門の天使が調べた悪行を参考に、魂を救うのかを決めるのがあたしたちだ。
今回のミスは、調査部門の天使が勘違いをしたために起こったことで、救済部門のあたしは何も悪くない。それなのに、止めにいくのも謝りにいくのもあたし。いくら面子を立てるためとはいえ、営業時間外に急に仕事命令を出すなんて酷いではないか。あたしの生活リズムをどうしてくれるのだ。
それに、調査部門のミスは今月に入ってもう三回目……。
勘違いされている方も多いと思うが、天使にも悪いやつはいる。
天使使いが荒いやつや、相手の気持ちを考えないで行動するやつ、表ではにこにこ笑っているのに、裏で陰口ばかり言っているやつ。
そういうやつらは、後輩思いの厳しい天使とか、素直な天使とか、気遣いができる天使とか言われている。一体どういうことだ。
結局、今朝は朝ご飯は食べられない、ゆっくりとテレビは見れない、化粧が薄いまま出勤、という悲惨な朝だった。
唯一、あの人間の魂が救われたのが、あたしにとって救いではあったが……。
慌てて準備したため、斜めに傾いたまま付いたエンジェルリングをまっすぐに戻し、溜息をついた。
こんなに面倒な思いをするなら、死神になりたかった。
死神は自由そうで羨ましい。天使なんかとは違って、職場がアットホームだと聞いた。
あんな職場、こっちは一秒でも長く居たくないのに……。
そう考えていると、死神のやつらが憎らしく思えてきたので、憂さ晴らしに頭上のエンジェルリングを地面に叩きつけようとしたが、このリングは大事な商売道具だということを思い出し、地団駄するだけに留めておいた。
生まれ変わったら、死神になってやる。
拭えぬ死神への嫉妬心を滲ませて、あたしはそう誓った。
最初のコメントを投稿しよう!