2話 《恋人》

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2話 《恋人》

 あたしの名前は小島ハツナ。  隣町の高校に通い始めてから、よく気持ちわるい記号を見るようになった高校一年生だ。 ----------------  ※注意※  この近辺での願いごとはご遠慮お願いします。  願いごとによる事故等につきましては一切責任を負いません。 ----------------  黄色いポスターにこの注意文言。  そしておきまりの毛むくじゃらの丸記号。相変わらず気持ち悪い。  たしか【蛆神様】だっけ?  願いごとを叶える神様だって聞いている。  こんな公園の前にも貼ってあるんだ。  誰か剥がさないのかな。 「ううう! くそぉ!」  嗚咽交じりの涙声が目の前から聞こえてきた。  うわ、また?  また変人登場?  って、思ったら、涙声の正体はクラスメイトのトモミだった。 「トモミ?」  鼻水ずるずる目が真っ赤か。  公園の前で号泣に号泣を重ねた汚い泣き顔をさらしている。  近所のおばさんや子供たちがどん引いた様子でトモミを眺めている。 「どしたの? なんかあった?」  放っていおくわけにもいかず、トモミに声をかけた。  あたしに気づいたトモミが、小走りで寄ってきた。 「ハツナ……聞いてよぉ」  制服の袖を掴んで、トモミはあたしの胸に顔を押しつける。
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