三丁目通りの交差点に立つ女

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三丁目通りの交差点に立つ女

これは80年代の終わり、私がまだ幼かった頃のことです。 学校の七不思議から始まり、紫の鏡、赤い紙青い紙、こっくりさん、口裂け女。 突然降って湧いたにしてはリアリティのあるオカルト話の数々、校庭の銅像が動き、体育館裏の使われていないトイレからは手が出るなど、次から次へと現れては泡のように消えていきました。 私が通った小学校では、とくに占いやおまじないを中心に女子の間でオカルトが大流行し、不幸の手紙が原因でちょっとした校内事件にもなりました。 困り果てた学校側は、ノートの切れ端に書くほんの些細な手紙の交換すら禁止するオカルト禁令を出す事態となったのです。 今から思えば、上の世代のオカルトブームを引き継いだ兄姉や上級生たちから渡った話しが大半だったと思います。 しかし、そんな中であって、この小学校があった三丁目地区には口裂け女と類似した別のお話があったのです。 『夕方、日も沈みかけたころ、三丁目通りの突き当りの交差点にコート姿に赤いハイヒールの女性が立つ。』 妙に外見だけがはっきりとした話でしたが、手に鎌を持っているや足が速いなど、口裂け女と似た部分が多く、地域独特の派生ものという見方もできますが、私たちの間では別々の話として伝わっていたのです。
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