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ヤツについて
結局、ヤツは彼女の作るご飯を旨い旨いと遠慮の欠片もなく沢山食べて、その上、厚かましくも風呂に入りそしてーーー彼女の寝室で寝て…
あぁー、ムカつく。
だけど彼女はその間、ずっと笑ってるんだ。
嬉しそうに幸せそうに。僕といる時には見せない……上手く言えないけど、とても優しい顔をする。
そんな時、ちょっとだけ嫉妬するけど僕は大人だから彼女の幸せそうな笑顔が見れるならいいかと納得する。
そうして一日が終わろうとして僕もリビングの隅に置かれた僕専用のベットに入る。
全ての音が静まる。
時々、近所のボス猫が見回りをしながらニャオと鳴いてる声が聞こえる。
それ以外は何も聞こえない。
夜の始まりだ。
すると、寝室のドアの向こうから普段、聞くことのない甘い彼女の声が微かに聞こえるんだ。
ーーーアイシテル…
って彼女が呟く。
何だろう?
アイシテルって
残念ながら今の僕にまだこの知識はないようだ。
一体、どういう意味だろう。
ただ、彼女の声が優しく響くからきっと良い意味なんだろうなとは思う。
そんな事を考えているうちに、僕もいつの間にか眠ってしまうんだ。
悪夢の一日が漸く終わる………
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