ヤツについて

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いや、悪夢は終わらない。 僕はヤツがーーー、 タクローの事が何から何まで気にくわない。だけど一つだけそうでもないところがある。 それは、出かける時に必ず僕も連れてってくれるんだ。 そう犬の僕も一緒に。 彼女は僕がいるとお洒落なカフェにも入れないし可愛い雑貨屋さんもゆっくり見れないからって家で留守番させようとするんだ。 そんな時、決まって 「みんなで一緒に公園にでも行けばいいじゃん。」 ってヤツは言う。 そんなヤツの言葉に優しい彼女も「そうだね。」って。 だから嬉しくなって、ついうっかりヤツに抱きついてしまうんだ。 「コタロー、そんなに俺の事が好きか?」 ーーーーいや、お前じゃない。公園に行くのが好きなんだよ……、彼女と一緒にな。 こうして今日も彼女と僕と……ヤツは近くにある広めの公園に来ている。
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