大切な思い出は永遠に

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 寂しく静かな部屋の中、2人の息づかいだけが聞こえている。この式の雰囲気を物語っているようで、胸を締めつけられる。 「じゃ、始めましょう」  うまく笑えず、一真にそう促した。  私は率先して十字架の前に立ち、一真に視線を送った。  一真はゆっくりと歩み寄り、私の隣に立った。 「ここで向き合って」  私は指示を出しながら動く。  一真と向き合う形になり、私は少し顔を上げて一真の顔を見つめる。  一真は神妙な面持ちで、周囲の部屋の様子に視線を泳がせた。落ち着きなく、注目してないと分からないほど小さく体が揺れている。  窮屈なスーツに慣れていないわけじゃないだろう。この時間が過ぎるのを待っているのだ。  本当は笑ってほしい。でも、一真にそれを強いたところで、険悪な雰囲気になるのは分かりきっている。失恋式という押しつけがましい提案に付き合ってもらっている以上、他の要求をするのは後ろめたい。  今までそうやって乙女色の鋭い爪で、赤い糸を無自覚に切り裂いていた私には、彼の正直な気持ちを受け止める必要がある。彼が痛みを持ったのなら、恋人であった私も痛みを持つべきだ。
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