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 ぴぴぴぴぴ……    情け容赦の無い、アラームの音が鳴っている。もう5時か……。  しばらく布団のなかでウダウダした後、覚悟を決めてベッドから飛び降りた。俺は今、大学の3年生。来年にはもう就職活動もしなくちゃならない。現在は、つかの間の意義ある大学生活を送っているところだ。「意義ある」なんていっても、まあ毎日早朝からのバイトばっかりで、肝心の講義の時は眠りほうけてるのだが。  とりあえずコーヒーを入れ、顔を洗う。今やっているバイトは、コンビニの店員。今時珍しくもない。講義の始まるまでの早朝数時間だが、出勤・登校前の時間帯なので忙しい時はめちゃ忙しい。早起きしてバイトで疲れてから授業に出るわけだから、眠くなるのもムリないよな。単なる言い訳だけどさ。  大きくあくびをしながら、メットをかぶり、スクーターを走らせる。バイト先まではバイクで5・6分、そこから大学まで10数分。時間的にも割のいいバイトだ。今日もまた、忙しくなるかな……まだ眠気の残る頭で、かすかにそんな事を思っていた。      バイトが始まるのは、朝の5時半。さすがにまだ店内はひと気がない。俺もカウンターの下で、好きな音楽雑誌なんぞを読んでいる。もう一人のバイトが来るのは、店が混み始める8時前だ。それまでは、俺一人。いつもこの時間は、こうして時間を潰している。  ちりーん……    ふいに、入り口のドアのチャイムが鳴った。 「いらっしゃいませ……」  雑誌から目を離し、いかにもやる気無さそーなコンビニ店員の声だな、と自分でも思うような挨拶を言いながら、入ってきたお客を見た時。俺は思わず、視線が釘付けになってしまった。  ……いい女……!
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