Marriage Blue(後編)

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「――んっ、ぅう……ん……ふっ、ん」  舌全体を痺れるくらいに動かし絡めさせ、数日ぶりの口付けを堪能する。発情している所為か、それだけて腰の芯から崩れそうなぐらい甘美な感覚に襲われた。それに従うまま二人して下半身を情熱的に擦り付け合うと、徐々に下着の中が蜜液で濡れはじめた。 「っ、はっ、誉さんっ……! ちょっと、このままじゃ俺もっ、抑えが効かなくなる……っ」 「んっ、藪中さんっ、いいです、いいですからっ、お願い……っ、もう、耐えられないですっ!」 「――っ、だから誉さん、落ち着いて」  鼻先が触れ合う距離で発した上擦った声は、まさに番を淫らに欲するオメガだ。初めて発情したあの夜より、酷く欲情しては藪中を誘っていた。  吐息が溶け合う中で藪中の眼の色が変わり、生唾を大きく飲む音が聞こえた。それでも彼は本能を我慢し、理性を保っているのだ。どうしてと切なくなる。こんなにも求めているのに。 「っあ……藪中さん、藪中さん……っ」  熱さで蕩けた思考は、目の前の極上の番しか目に入らない。私は藪中の胸に縋りつきながら、ゆっくりと彼の中心部へと顔を移動させた。 「ほ、誉さん?」  その問いかけに私は何も反応せず、藪中の体臭を鼻いっぱいに吸い込みながら、彼のベルトに手をかけた。発情で思うように手は動かずにいたが、嗅いだ匂いが安定剤となり指先を少しだけ安定させてくれた。  ゆっくりとベルトの金具部分を外し、スラックスを寛げると、黒のボクサータイプの下着には隆起する立派な肉竿のラインが模られていた。裏筋すらくっきり浮かび上がるそれは、いかに欲情しているかを物語っている。  下着に手をかけ、ずらせると、間近に濃厚な先走り汁を垂れ流す生身の雄が姿を現した。魅惑の香りを放つ藪中の分身は、私の発情フェロモンをもろに受け、血管がはち切れそうな勢いで脈動していた。 「――っん、ぅ……」  そして私は、何の迷いもなく、先走りがどんどん溢れ出る切っ先へと吸い付くようにして口付けた。
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